デリバティブの5つの特徴
1.売り買いも自由にできる
通常の取引では、買ったものを初めて売ることができ、売りと買いは対等ではない。しかしデリバティブは売りと買いは対等であり、だからこそ株の値下げに備えたリスクベッジには欠かせない。
2.思い通りに商品を組み合わせることができる
デリバティブにはさまざまな種類があり、自分に合ったオーダーメイド型の商品を作るのも簡単である
3.巨額の取引がおこなわれる
デリバティブは通常元本が必要なく、自己資金の何倍もレバレッジをかけて取引ができる。
これは利益においても損失においても同様なことが言えるので自己資金管理には注意が必要である。
また、デリバティブは商品を自由に作り出すことができるので、取引額に際限が存在しない。
ある企業のオプションを取引する際本物の株は必要ないので、原理的に時価総額何倍の取引でも自由に取引が可能となる。
4.価格決定機能の拡充
デリバティブは柔軟に取引ができるので、多種多様の投資家が参加できる。
だから取引は活発になり、その結果価格は合理的で安定したものになる。
市場には適切な将来予想が織り込まれ、予想に沿って正しく富が分配される。
そのことによる経済的恩恵は計り知れない。
しかしデリバティブ市場は巨大なので、一歩間違えれば市場を混乱に陥れる。
5.デリバティブに有利不利はない
一見するとどちらか片方が有利に見える取引があるのだが、有利に見える反面必ずリスクが存在する。
高いリターンとが得られる反面大きな損失を出す可能性が高いということだ。
だから買い手、売り手一方のみが有利ではないというのがこのデリバティブの取引である。
デリバティブは柔軟に取引ができるために多くの投資家が参加して、市場の価格形成は合理的になりやすく、そして富も分配されやすい。
しかしきちんとその仕組みを押さえて取引しなければ金融破綻を呼び起こし、世界市場をパニックに陥れる金融破壊兵器となりかねない自体になってしまうのである。
これはデリバティブだけでなく、私たちの普段の投機でもリスクとリターンは表裏一体であることをきちんと理解して取引しなければならないことを教えてくれる。
デリバティブを組み込んだ商品の曖昧さ
デリバティブというのは正しく理解して、使うことができれば大きな額の元本なしでリスクを回避することができる。
しかしその理解を中途半端なまま、曖昧にしてデリバティブを利用すると大きな損失を被ることがあるので注意が必要だ。
結論から言うと、デリバティブは便利だが、使い方を誤ってしまうと大きな損失を被ってしまう諸刃の剣である。
とくにデリバティブが組み合わさった商品はリスクが曖昧になり商品自体を理解することが難しくなる
少ない元本でオプションを買うことができ、
一見有利に取引を持ち込むことが可能となる。
しかし、その有利さは表裏一体であり、高い手数料を払ったり、貰えたりするから、一方的に有利に見えたり、不利に見えたりする。
つまりデリバティブは一方的に有利とか不利とかないのである。
今回仕組債の具体的な例として日経平均リンク債をだしてみよう。
一言で言うと、日経平均が一定期間内に20%、30%などと言う大きな下落がない限り高い配当を得ることができるという投資信託である。
20%、30%の下落というのは実は一定確率で起こることなので、この投資信託というのは高リスク、高リターンの商品と言える。
例えばサブプライムショックでは日経平均が一年で50%以上下落したことから20%、30%の下落は比較的肌感覚でも多いと言えそうだ。
つまりこれは投資家が不利になるような商品だと言える。
しかしそれを理解せず当時多くの投資家がこの商品を買って大きな損失を出してしまった。
その理由として大きく2つ存在して、
1つ目の理由として、当時から日本は長く低金利が続いていたので、高い配当が非常に注目を浴びてしまった。
2つ目はリスクの表裏を理解していなかったことが挙げられる。
さらに投資信託における一般投資家向けの商品は中間手数料が大きくかかるのである。
それを考慮に入れると受け取る配当以上にリスクは大きいことが言えのだ。
デリバティブを組み込んだ商品というのは一見リスクのない商品と勘違いしてしまうことが多く、複雑である。しかし、投資の大原則であるリスクとリターンとの関係はきちんと押さえて投資を行なっていきたい。
まとめ
・デリバティブはどちらか一方だけが得をする取引ではない。
・デリバティブが組み合わされた商品はリスクが曖昧なってしまう。
CDSが企業倒産を拡大させる
CDSは企業の倒産リスクを取引するものである。1つの企業の倒産がきっかけCDSが有効になり、それが市場に大きな影響を与えることになります。
CDSというのはリスク企業の倒産リスクを回避するために使われるので投資家はある企業に投資をしつつ、CDSを活用して、大きな損失をベッジする。
CDSは大きな額の元本を必要とせずに、もし企業が倒産すれば莫大な額のお金が手に入る。
補償金を出す側は倒産こそしなければプレミアム料金をずっと得られるのだが、
企業が倒産してしまえば.
その莫大な補償金を払わなくてはなりません。
今度それが補償する側の資金を圧迫してしまいます。
場合によってはそれが命とりになり補償金する側が倒産してしまうかもしれません。
さらにここから複雑になるのですが、その補償金を出す側もさらに
証券化商品などでリスクベッジをしている場合があるので、それを購入した投資家や、銀行にまで影響を及ぼし、市場全体に大きなキズ後を残します。
その具体的な例としてあげられるのはアメリカ最大級の保険会社AIGであり、
アメリカ政府の管理下で再建しました。
なぜアメリカ政府に助けられたのかというと、AIGは多くの取引先に対してプロテクションセラーとして取引をしていました。
もしAIGが倒産してしまうと、多くの取引先が補償金を受け取れず、先ゆかなくなり、市場が大混乱に陥ってしまうからである。
クレジット・デリバティブについて
企業の信用を取引する
クレジットデリバティブはここ数年の間で急激に拡大したデリバティブの1つである。
その体表例としてクレジット・デリバティブ・スワップ(CDS)と言われるものがある。
CDSの取引残高は5700兆円ほどの巨額なお金が動いていて、わずか2、3年で3倍ほど増えている
このCDSの仕組みを利用して大きな打撃を受けたのがアメリが最大の保険会社AIGである。
CDSにとって大きな損失を出して経営危機に陥ってしまい、
アメリカ政府の管理下に置かれ救済された。
このCDSは企業の倒産リスクを取引するものなので仕組みは非常にシンプルである。
そこで具体例出すことにする
ある企業の倒産リスクを回避したい投資家はプロテクションバイヤーとなる。
つまりCDSの買い手である。
もし企業が倒産してしまったら補償金を受け取ることができる。
しかし倒産しなければあらかじめ決まっているプレミアム料金をずっと払い続けなくてはいけない。
一方で反対のプロテクションセラーは
CDSの提供側で、もし企業が倒産すれば補償金を支払わなくてはいけない。
しかし倒産しなければずっとプレミアム料金を受け取ることができる。
これは元本の払い込みがないので、手持ち資金よりも巨額な取引をすることが可能となる。
またこのCDSには様々なバリエーションが存在する。
例えば、複数の企業が1つの商品としてパッケージ化されて、その1つでも倒産すれば補償金を得られるという商品である。
これはプロテクションバイヤーが有利に商品となっているが、その分高いプレミアム料金を支払わなくてはいけない。
今回は企業の倒産リスクの売買を取引したものだが、証券化商品の損失補填するCDS取引も可能となる
CDSの登場により企業の倒産リスクを売買できるようになった。
倒産リスクが高くなればプレミアム料金が高くなり、倒産リスクが低ければプレミアム料金は低くなる。
よってその水準を注意深く見ることで市場がその企業をどの程度信用しているかをすぐに把握することができる
オプションの種類と具体例
オプションは難解で、パターンが色々あるので、理解が難しいところではありますが、基本的なオプションの種類をここではみていきたいと思います。
オプションの基本的なパターンとしては
大きく分けて二つ
それぞれに買い手と売り手がいるので4パターン取引の仕方が存在することがわかる。
ゴールオプションとは
決められた値段で買うことのできる権利
のことを言います。
ここでコールオプションを買ったケースについて考えてみます。
現在500円のA株があるとすると、
このA株を510円で買う権利を買ったとします。
もしA株が500円以下になってしまったら、損をしてしまうので、コールオプションを放棄してしまえば良いことにります。
逆に520円に上がったとしましょう。
権利を使ってすぐに520円で売れば10円の利益となります。
つまりコールオプションは証券の値段が下がったら損をせず、値段が上がった時は利益を得られると言う良いところ取りの商品であることがわかります。
しかし、取引当事者のどちらかが一方的に有利と言うわけではなく、
有利さに応じてプレミアムという手数料を払わなくてはいけない。
今度は売り手にとってコールオプションは
決められた値段で売らなくてはいけない義務となる。
どれだけ株価が上がったとしても買い手が権利を使ってきたならば、その値段で売らなくてはいけない。しかし買い手の希望する値段に上がらなかったならば、手数料を受け取れるので、その分が利益となります。
次にプットオプションは
反対に買い手にとって決められた値段で売る権利であり、
売り手に取っては買う義務となる
例えばA株が500円で売る権利を買ったとする。
450円まで下がるとその株を450円で買った株をプットオプションを使い500円で売れるので、差額50円が利益となる。
もし上昇したら権利を使わずに破棄すればよい。
しかしその有利さの代償としてプレミアムを払ことになるので、これまた買い手はその分手数料を払わなくていけないのです。
このようにオプションを組み合わせことによって複雑で洗礼されたリスク管理や資産運用が可能となる。
しかし、理解が難解になる分曖昧な理解で使う場合は痛手を被る場合があるので注意が必要ですとなる。
まとめ
・コールオプションは買値より上がれば利益が得られる
・プットオプションは買値より下がれば利益が得られる
・オプションはどちらか片方がのみが有利ではなく、オプションの買い手はプレミアムと言う手数料を払わなくてはいけない
スワップ
7京円という桁外れの規模を持つキャッシュフローを交換する取引!
スワップとは金利の支払いと受け取りの一連のお金の流れのことを意味するのである。
このスワップの対象となるキャッシュフローはさまざまなものがあるが、代表的なものが金利スワップである
スワップは交換取引であるために2当事者間で取引が行われる。
こうしたデリバティブを店頭デリバティブまたはOTCデリバティブと呼ぶ。
市場で圧倒的多数を占めているのが店頭デリバティブで取りは残高は世界で7京円弱と言われている。これはアメリカのGDPの約50倍であり、その半分を金利スワップが占めている。
この金利スワップの取引金額は相対元本ベースのため実際にこれだけの金額が動くわけではない。
それに多くの取引は反対取引でリスクを相殺している。
スワップでは一方の当事者は契約期間中、あらかじめ約定された固定長期金利の利息を払い続ける。他方の当事者は、その時々のLIBOR金利で計算された利息を払う。
LIBORとはロンドンで取引されている銀行間預金金利のことで、毎日レートが公表されている。こちらは何%の金利になるかあらかじめ決まっていないために変動金利と呼ぶ。
交換されるのは金利だけであり、元本は交換されない。
元本は利息の金額を計算するためだけに使われることになるので、相対元本と呼ばれている。
銀行は短期の預金を集めて、固定金利で企業に長期貸しを行なっている。
しかし何かの影響で短期金利が上昇して預金金利も上がるため支払いが増えてしまう。
貸出金利の受取を上回る逆ザヤ状態
に陥ってしまう。
そこでそれを回避するために
LIBORは短期金利なので、短期金利が上昇すれば預金金利が増加分LIBOR金利も増加分受け取ることができるので、当初の利ザヤは確保できることになる。
長期金利(スワップ金利)を払わなくてはいけないが、企業から受け取る貸出金利>スワップ金利になれば利ザヤは確保することが可能となるのだ。
金利スワップをうまく活用することで、変動のある短期金利のリスクから上手く回避することが可能となる。
まとめ
・LIBORは短期を受け取り、長期金利を支払う
・スワップは元本の交換はしないで、金利の交換のみ行われる
・金利スワップを活用することで短期金利上昇のリスクヘッジを行うことができる
先物とは?
先の日付で取引するので、
少ない額の証拠金で売買する!
通常株を買う場合は
お金を先に払うことで株を買うことができる。
一方で株を売るときは
保有している株を売り
その対価としてお金を受け取ることができる
ここで先物というの
は少額の証拠金を払うだけで
それに見合うお金を支払わずに株を買い、
また保有していない株を売ることができるような商品である。
一見すると魔法のような取引だが、これは使い方に注意が必要なので実際の具体例から把握してみよう!
先物利用の具体例としては
数日後お金が入って来るので、それを株式投資に利用したいと考えたとする。
普通であればお金が入ってくるまで買えないので、それまでに株価が上がってしまえば収益機会を逃すことになってしまう。
しかし先物ならば先物を先に買っておくことで株価が上がった時に先物も値上がりし、利益を生むので、収益機会を逃さずに済む。
実際にお金が入ってきたときに現物の株式を買う際には既に値上がりしてしまった値段でしか買えないことは変わらないが、
同時に先物をを反対売買して利益を確定させれば、先物を買った時点にもどって株式を買ったのと同じ効果を発揮する!
ここで大切なのは先物取引は利益を確実に得られるものではなく、
相場予想に基づき、機動的に取引することを可能にするということである!
別な言い方をすると、先物というのは手元に投資金がないとか、取引先の株なので配慮のため売ることができないなどの現実の制約から離れて、
自分の意思と判断力で行動を起こす自由を保障するものであり、利益が確実に決定しているものではないので注意が必要なのだ!
まとめ
・先物とは現実的には資金がなくてもあらかじめ先物を実際の株の代わりに買うことが出来る。
・手元にお金が入った時に先物を買った日にさかのぼり先物を買った値段で買いつけを行う。
・先物は現実的な問題としては無理なとき、制約を離れ自分の意思と判断で行動を起こすことができる自由を与えてくれる。
・利益を保障するものではない。